バックステージ オブ サイクリング・ブック

サイト「サイクリング・ブック」を作っていく上での諸事雑感などを書いていきます

チャンとドラ

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サイクリング・ブック ー discover Japan by bicycling ー

昔、西部劇好きの友人と話していて、わかったことがある。
彼は、主人公のガンマンになりきって悪者を成敗していたのである。
西部劇がどうも好きでなかった僕はどうかというと、
悪者集団に椅子や棚を壊される酒場の主人とか、
主人公にあっという間に撃たれて泥に倒れる悪者の手下とか、
そういうところに感情移入していたのである。
西部劇を好きになるわけがない。
ヤクザ映画、日本で作られる戦争映画などは、論外である。
特に後者にみなぎるナルシズムには反吐が出る。



ハードボイルドというのもその延長で敬遠し続けてきたが、
とうとう読んでしまった本。
かっこいい。
ヤクザ映画を見た後では、歩き方が変わるというが、
その手の映画を見ない僕も同様の体験ができたほど。
一人称の文にマーロウの冷静な目にさせられ、
短く要点を突き、隙を与えないしゃべり方になる。
暴力シーンはジョン・ウェインの映画みたいで、汚くない。
(ホメてるつもり)
ハードボイルドなんて言い方が悪いから、これまで接近できなかったのだが、
生来の軟弱なりに僕の中でできあがった理想の「男らしさ」に、近い。
ブラッドベリと並び、チャンドラーは文学上の位置づけが違うのじゃないかと、
考えさせる作家である。
読者の立ち居ふるまいを変えさせる強烈なサムシング、
あるいはかっこよくキマリすぎな文章が、
分類を誤らせる要素なのかもしれない。


主人公フィリップ・マーロウについての賞賛はありふれている。
やる気がしない。
僕としては、主人公になぐられ倒れた三下の視界から、
「銀ちゃん、かっこいい……」
そんな感じだ。