インターネット的な、あまりにもインターネット的な
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「この本をこの課のバイブルにしよう」
会社のオフィシャルサイトのリーダーを仰せつかった彼は言った。
僕は謹んでその本を拝借、拝読した。
そして言った。
「けっ」
それは「ほぼ日刊イトイ新聞の本」であった。
- 作者: 糸井重里,重松清
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/10/15
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細部は覚えていないが、
それは天下の糸井重里氏ならではのきらびやかな人脈を駆使した、
彼しかできないインターネットの試み、
そして成功の自慢としか読み取れなかった。
糸井重里氏の才能については、いまさら書くまでもない。
しかし彼の才能と業績をバックにした、例のないインターネットの試みと、
会社のオフィシャルサイトの目標に掲げる「リーダー」の存在は、
くすぶっていた僕の反感を煽り、顕在化させる以外のものではなかった。
きらびやかな才能というのは糸井氏のようなことを言うのだろう。
本来であれば、地味一辺倒になるかもしれなかったコピーライターという職業を
現在のようなステイタスのある仕事に押し上げたのは、
彼の力によるところが大きい。
業界事情にうとい僕は、そう認識している。
それはごく普通の人から遠くない認識だと思っている。
そのきらびやかさは、地味な側の人たちの反感を引き出す。
彼の天才をいくらわかっていたとしてもそれは変わらない。
しかし天才だ。おそるべし。
- 作者: 糸井重里
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2001/07/14
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「インターネット的」
この本を読んで、素直にそう思う。
2001年、初版刊行。
2001年に、インターネットの本質をこれだけ洞察しえた人が、他にどれくらいいたのか。
僕にはわからないが、
たとえば哲学を学ぼうとする人が、カントやニーチェを読まざるを得ないくらい、
インターネットが普遍化したこの世界を理解するために必要な書と言える。
「ほぼ日刊イトイ新聞の本」を、僕は年下の「リーダー」に返さなかった。
自分が抱いた反感ゆえ、彼に返却する際のコメントに困ったというのが正直なところ。
そのままになっている。
最近、本棚の整理を終えたが、その本は見あたらなかった。