野球の実力
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親から物事を強制させられるのは、貴重な体験でもある。
というのは理性の声で、
むろんそんな強制は無いにこしたことはないが。
振り返ってみると、自分の嗜好だったら体験せずに成長した筈のことで、
思わぬ友人を得られたりもする。
親の強制で始めたリトルリーグ。
根っから集団行動がダメで、運動神経にも優れなかった僕に、
いい思い出はほとんどない。
だが少年野球の世界とそれに関わる大人たち、
理屈抜きで動かなければいけないということ。
その中でなんとかやっていくという経験を得た。
かもしれない。
プロ野球を見るにも、野球経験者は、
グローブでの捕球、バットの痺れを自分の感触を再現している。
サッカー大好きだけれど、
本当に自分の身体に響くのは野球である。
- 作者: 砂田弘,山中冬児
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1980/12
- メディア: 文庫
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小学校の課題図書。
当時の会話。
母親:「買ってきたよ、『ツーダンフルベース』」
僕 :「『二死満塁』だって言ったじゃない」
母親:「ツーダンフルベースって、二死満塁のことだよ」
僕 :「……」
僕の野球の実力が、これで知れるというものである。
給食費の紛失から、大好きな野球で八百長を強いられる少年の成長物語。
面白かったけれども、
運動神経抜群の人気者、という主人公に、感情移入はできんかった。
くだらないところにひっかかるのは、子供の頃からである。
ところで、給食費というのは子供にとってリアルなものだ。
かの「氷点」でも、ヒロインが義母から給食費をもらえなくて
苦労するくだりがあったと記憶する。
母の棚にある文庫で小学校の時に読んで、
そんなくだらないエピソードばかり覚えている。
当時はヒロインの兄の名前の漢字さえ読めなかった。
感想もヘッタクレもない。
わからないまま読み切って、「続・氷点」の存在を知って挫折した。
少年野球の経験のように、
わからないままその世界に放り込まれても、
血肉とできるのはこの時代だけのような絶望感。
全体把握の癖がついた自分が、いいのか悪いのかわからない今日。
遠くなればなるほど ひどい思い出が 眩しく輝くのさ
Original Loveの「Crazy Love」
良くない思い出が頭をよぎるとき、口ずさむ一曲。