いそがしい夜
こちらは旧サイトです。 本体ブログを更新しています。 サイクリング・ブック ー discover Japan by bicycling ー
「寝る前の本」というカテゴリーが自分にはある。
意味はそのまま、寝る前に読む本。
睡眠をさそうものが望ましいのはもちろんだが、
案外条件は難しい。
安定した精神がもたらされ、しかも退屈であってはいけない。
頭が活性化してもよくない。
同じ本が続くと飽きて、かえって思考が動きだしてしまうことがあるし、
かといって未読の本は、自分の興奮が予測できない。
従って、振り返ってみると、それがどんな本かというのは一定していない。
一時期は、そろえたジョーク集シリーズをローテーションで読んでいた。
よく知ったジョークへの安心感が、
眠りをさそうのに丁度よかったのである。
通勤途中で読んでいる本をそれにあてたこともあるが、
慌てて出勤するときには、カバンに入れるのを忘れたりする。
見飽きた通勤電車の中、読む本がないのは精神的拷問である。
そのリスクは採らなくなって長い。
ミステリーを読みながら寝付くというのが、
好みから言うと最高なのだけれど、
一晩中読んでしまうという大きな危険がともなう。
ああ朝シャンプーで明らかな寝不足を頭皮に感じる最悪の気分よ。
- 作者: ケン・ウェバー,上條ひろみ
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- 発売日: 2005/07
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短いジョークを読みながらだとうまく眠れた経験、
ミステリーを読みながら寝転がりたい欲求、
それを満たすべく、見つけた本。
結果は、あえなく失敗。
それぞれ独立した短い話の中にコンパクトに詰め込まれた
状況と登場人物を理解しなければならない。
早く読み終えてしまう中で、事件の謎を解こうという心理も働き、
少しも頭が休まらない。
解答は次の一章の終わりに配置されているので、
そこまでページをめくって読み、また前に戻るという運動まで付いてくる。
話にも味わいが足りない。
ジョークは言葉と論理と、そのズレの遊び。
いわば、必要以外を省いたシンプルな4コママンガの線であるのだが、
その余白部分に僕は心をあそばせ、体を弛緩させていたものらしい。
そういえば、いしいひさいちの「DOUNUTS BOOKS」シリーズを
「寝る前の本」にしていた時期もあったのだった。
いひおおせてなにかある……。