カラ満足の兄弟
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世界のジョーク集で、ドストエフスキー、というより
「罪と罰」を扱ったものを見かけた。
つまらないジョークだったので引用はしないが、
ロシア人も「罪と罰」を読まないらしい、ということがわかった。
ドストエフスキーを、代表作だからと「罪と罰」を最初に読もうとするのは
挫折へのかなり確実な道ではないかと思う。
それくらいなら「カラマーゾフの兄弟」の方が取っつきやすいが、
なにしろおそろしく長く深刻にも見えるから、挫折ルートと言える。
昔の友人に「カラマーゾフ」を笑える小説だと喝破した男がいたが、
こういう慧眼の持ち主は希である。
短編から入るのがヨロシイ。
- 作者: ドストエフスキー,原卓也
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1969/02/22
- メディア: 文庫
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いまどき、こんな表紙で女性読者ばかりか若者をターゲットにすることは難いとは思うが、
それはさておき。
ドストエフスキーが好む「ロシア人とはなにか」という難解なテーマも、
賭博というフィルター越しのわかりやすい議論が少しあるだけ。
舞台もルーレテンブルクという架空の保養地に設定したおかげで、
ロシア国内の陰鬱な描写もない。
ストーリーの起伏がわかりやすく、
バクチの盛り上がりもあってドラマチックだ。
ルーレットの面白さと、外国の賭け金がリアル。
ドストエフスキー作品には珍しく、イギリス人まで登場し、
重要な役を担っている。
気合いを入れずに読むことができる。
「お祖母さん」というトリックスターが登場し、
ストーリーを大いに盛り上げて去っていくのだが、
ドストエフスキーにときどき登場する人物のパターンであるので、
本書を足がかりにドストエフスキーの名作長編に取り組む人には、
見知っておくべし、というところ。
北杜夫に、「悪魔のくる家」という戯曲があって、
株に熱中するお婆さんが登場する。
おそらく本書が頭にあって書かれた作品なのだろう。
- 作者: 北杜夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1983/12
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「カラマーゾフ」の笑いを見抜いた友人とは、
数年前に喧嘩別れをしてしまったきりだ。
理解しただけあって、彼自身ドストエフスキー的な性格だった。
躁鬱病でこそなかったけれど、
いまで言う「濃い」人間だった。
インターネットがあまねく広まった近年でも、
彼と連絡を取る方法がないのが不思議で、
またとても悲しい。
きみさん、いまどこよ。
NHK-BSの「世界のサッカー情報」は、いつも偶然に見る。
サッカーのいろいろな話題を取り上げているが、
日本で知られる前の選手、ヨーロッパに買われる前の若手南米選手などの
紹介があって楽しい。
有名になる頃には、その選手を番組で見たことは忘れているのだが。
ロナウジーニョ、メッシ、ロビーニョも有名になるはるか以前に見たような……。
今は、アトレティコのアグエロに注目すべきだ。
マラドーナはメッシをずいぶんと買っているらしいが、
がめついドリブルとゴール前の意地汚さは、
アグエロの方がはるかにマラドーナ似。
メッシはちょっと繊細。