10日間、10時間
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ワトソン役のクイーン警視がニューヨーク市警に勤務だから、
エラリー・クイーンの活躍もニューヨークになる。
が、実際にはなにやかやと他の土地に行って事件に巻き込まれる。
「ライツヴィル物」と言われる一連の作品では、
エラリー・クイーンが好む田舎の町「ライツヴィル」が舞台になる。
一連の作品が発表されていく中で、前作前前作の主要登場人物たちは歳を取り、
犯罪まで起こし、エラリーに捕まってしまったりする。
ライツヴィル物を読んでいる読者なら期せずして、自分が町の住人であって、長年見慣れた近所で事件が起こり、
隣人が犯人であったと判明する驚きがリアルに味わえる。
小さな町の筈なのだが、物語をダイナミックにする必要か、
事件後ごとに出てくるライツヴィル在住の金持ちは、
なべてアメリカ代表クラスの富豪であったりするのは愛嬌。
ライツヴィル物は、エラリー・クイーンの長編・短編に散在しているので、
それを探す、あるいは出会うのも楽しみの一つとできる。
- 作者: エラリイ・クイーン,青田勝
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04
- メディア: 文庫
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本書は、いくつかある「ライツヴィル物」の長編のひとつ。
十戒やアナグラムなど、エラリー・クイーン本人、読者の大好きなネタを使っている。
解説では、鮎川哲也が、本文中に読者に対してアンフェアな記述があることを指摘している。読者にフェアな勝負を挑むことを標榜しているクイーンのミスということで、推理小説好きが重箱の隅をつつくのにいいかもしれない。
ミスと言えば、
事件はいったん解決するが、実は、という続きがあり、
本書は名探偵の失敗譚なのである。
結末で、エラリーは、「今後、二度と事件に関係しないつもりです」と言って、
実はそんなことはない。
名探偵はそうあらねばならない。
十つながりで、ムーンライダーズの「10時間」は僕の大学末期のテーマソング。