訳者で読む
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小説は好きだけれど、文芸雑誌を読むのが苦手だ。
なんだかエラそうで、怖いのである。
いろいろな要素がきれぎれに入り混じっているのが、面倒臭い。
わずかに読むマンガ雑誌にしても、次号に続くというのが我慢ならず、
単行本で一気に読む方がいい。
インターネットもいろいろな要素が混じっているが、
それらは検索によって、わずかの努力で納得いくまでの情報を得ることができる。
ネットに慣れたことが、自分の中にある新しい情報への怖れを無くした気がする。
自分の選んだオピニオン・リーダーが、
何を読んでいるかをブログなどで知ることができるのは、
どんな情報誌よりも有り難い情報である。
- 作者: 柴田元幸
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2001/05
- メディア: 文庫
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一人の作家の短編集は普通に読むが、
さまざまな作家の作品を集めた短編集は、これまた僕の好むところではなかった。
気に入りの作家が選んだ短編集にしても、手に取ったことが無かった。
この本を特に検索して購入につながったのは、
先に挙げた、未知の作家の情報の得やすさと、
柴田元幸という訳者の選が、今の僕の旬だったのだ。
それぞれの短編の前には、訳者による作者の紹介がある。
メタデータとして、重宝。
この手の本が、どういった構成であるのが主流かは知らないが、
僕にはとても作品に入りやすかった。
訳者あとがきで解説しているのはよく見かけるが、
こちらの方がよっぽどいい。
ある本を思い出した。
- 作者: ニーチェ,Friedrich Nietzsche,秋山英夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1966/06/16
- メディア: 文庫
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ニーチェ「悲劇の誕生」には、
ギリシア悲劇の系譜が語られていて、
それによると、それぞれの幕の冒頭には、
演じられる内容についてあらかじめ解説があったとのこと。
筋の運びに気を取られることなく演劇を味わってもらう、
という目的にのっとったものであったという。
本書の構成がそれを想起させたのだ。
スティーブン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベックが
本書を読むきっかけではあったが、
レベッカ・ブラウン、ラッセル・ホーバンは
別の作品も読んでみたいと思う。
こうやっているうちに、懸案であるジョン・アーヴィングはまた後回しになるのであるが、
それはそれで、インターネット的ではある。