文章で笑う
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本を読み出すきっかけは、人さまざまだろうが、
僕の場合は、笑えるものが読みたかったのだ。
マンガを買ってもらえる家ではなかった。
親しい友達は、学級委員とかやっている子が多く、
連中はマンガなぞ読まないので、貸し借りも成立しない。
家にある本で、おもしろそうなものを物色することになった。
またしても、家に転がっていた本。
どくとるマンボウシリーズでは、
「どくとるマンボウ航海記」
- 作者: 北杜夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1965/03/02
- メディア: 文庫
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と「どくとるマンボウ青春記」
の、どちらを先に読んだだろうか。
どちらも大笑いしながら読んだのは事実だが、
それだけの文章ではないことも、わかっていたようだ。
後になって、読み返す気になったときには、
笑いを求めてのことではなかったから。
あれが、笑えてしかも何かを心に残す文章というものが存在することが、
頭にインプットされた瞬間だったのだろう。
後年になって読んでみても、さりげない笑いの中に、
そこはかとない人生のペーソスが流れていないエピソードはない。
うまい文章である。
当時住んでいた福井市では、ぎりぎりラジオで関西の毎日放送を受信できた。
これらの本を読んでいたのとほぼ同時期に、
「ヤングタウン」
http://d.hatena.ne.jp/keyword/MBS%A5%E4%A5%F3%A5%B0%A5%BF%A5%A6%A5%F3
で、関西でしか触れられない関西芸人の咄を聞いていた。
日本放送の「鶴光のオールナイトニッポン」などを聞いていた。
関西で読まれた素人のネタが、一、二週間後に日本放送の電波で全国区になるのを見ていた。
受験期を迎えても聴取を止めることができず、
ようやく入った三流高校では、
主流の小学生並みのダジャレや、さもなければオヤジギャグに、
「頭が悪い」とはこういうことかと、初めて合点がいったが、もう遅かった。
ようやく見つけた友人と「ヤングタウン」の話はできても、
北杜夫の話をしたことはなかった。
いま気がついた。
そういえば、僕の「大人になったら集めよう」シリーズには、
二番目か三番目に「どくとるマンボウ」シリーズがあったのだった。
一番目はというと、
何だったか覚えてもいない。