むずかしいカルヴィーノ
こちらは旧サイトです。 本体ブログを更新しています。 サイクリング・ブック ー discover Japan by bicycling ー
タイトルだけで読みたくなる本というのがある。
僕にとって、イタロ・カルヴィーノの作品タイトルがそれだ。
「冬の夜ひとりの旅人が 」は、タイトルだけで本屋に探しに出かけた。
(正確には、アマゾンで調べてから)
他にも、
「まっぷたつの子爵 」
「木のぼり男爵 」
「不在の騎士」
最初に手に入れたのは、
「柔らかい月」である。
- 作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,脇功
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/09
- メディア: 文庫
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面白いことは面白い。
しかし困ったことに、難しくて、僕風情にはよくわからないのである。
(わからなくても面白いものはあるよ、と自己弁護)
前掲のタイトルも手に入れたのだが、
最初のわからなさと、どのタイトルを次に読むか、で
本棚の背表紙をチラ見する日が続いた。
短編集「むずかしい愛」の表紙には、
「カルヴィーノの作風の転回点にあたり…」の記載がある。
それでこれを買って読むことにした。
そして、これは読めた。
- 作者: カルヴィーノ,和田忠彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/04/17
- メディア: 文庫
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普通の生活の中で、ある一点が気にかかってクローズアップせざるを得ないことがある。
しかしその些末事は、登場人物のアイデンティティそのものであって、
日常生活がそのクローズアップとともに進行する。
それが他人の目からは、他人の何でもない行動に映るか、可笑しいものに見えるのか。
そんな全体の調子が、自分にはとても納得がいく作品。
後の作品の難解さは、その萌芽としてこの作品中に散見されるが、許容範囲。
これで次のカルヴィーノ作品に進むことができる。
タイトルだけで、自分に合う何かしらが感知できる、という好例。